安心日和第八番札所 勅願山 惣福寺・トップイメージ
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    • 第八番札所勅願山 惣福寺
    第八番札所 勅願山 惣福寺
    • 御本尊 … 千手観世音菩薩
    • 御誓願 … 抜苦・安心
    • 御真言 … おん  ばざら  たらま  きりく
    • 御詠歌 … ありがたや  田の大御堂に  ぬかづけば
      御詠歌 … 抜苦安心  叶う下さる
      当山は、高野山と海南・和歌山市を結ぶ往還のほぼ中間にあたる国吉・田、貴志川右岸の山腹に在り、宝亀元年(770)道光上人開基と伝えられています。
      惣福寺観音堂は、広々とした社寺境内、杉・桧・高野槙・楠・椰・椎などの大木から成る社寺林を背景にして、隣接する熊野神社との調和のとれた景色の中にあります。宗教的情趣に富む境内とその周辺は古くからの桜の名所でもあります。四季折々の風景とともに、訪れる人の気持ちを清々しく明るくし、心を和ませる場所です。
      当堂の本尊は千手観音、『衆生の苦しみをとり除き、心に安らぎを与える』(抜苦・安心)を第一の誓願とする菩薩です。
      堂前には、無患子の字が当てられるムクロジの大木もあり『心身患わない』ことを祈願して、聖木としています。堂の裏手には文化財としても高く評価されている坂上田村麻呂ゆかりの石塔と伝えられている大きな宝篋印塔が現存します。
      なお、貴志川川畔にある入湯宿泊施設と当堂と天文台を結ぶ遊歩道があり、ウォーキングで心身をリフレッシュすることもできます。
    地球上の生物と人間・ヒトという生物
    第八番札所とその環境について
    森林の問題と生物多様性  地球上の生物と人間・ヒトという生物01
      国連は2011年を『国際森林年』、『国際生物多様性の十年』の初年としました。
    『国際年』は国連が1957年以来、毎年、国際的に深刻な問題をあげ、その解決に向けて設定します。『国際00の十年』は、国際的に更に時間をかけて解決すべき重要な問題に対して設定されます。
      地球の陸上の生物〈動植物〉の大部分が森林で生存しているといいますから森林の問題と生物多様性は不可分の関係があります。
      世界の森林について、現今、最も大きな問題は、二十世紀型開発といわれる乱開発や乱伐などにより、ここ二十年で日本の国土の約四倍の面積の森林が減少し、『国際森林年』から五年を終過した今もなお、各国・各地域の人間の利害関係や価値観
    の相違などで、減少と劣化傾向が続いていると報じられています。
      そのことが大きな原因の一つであるとされている地球温暖化による大洪水、海面上昇、旱魃、砂漠化など生物の生存にかかわる深刻な事象が生じていることです。
      生物多様性については、森林の減少をはじめ環境の劣化などにより、世界の生物が一日に約百種、減少しているといいます。現存、和歌山県下で、私たちが日頃、草や木と呼んでいるシダ植物と種子植物の自生種が約三千種(和歌山県立自然博物館による)ということからも、絶滅種の生じている速度を窺いしることができます。
    わが国の森林  地球上の生物と人間・ヒトという生物02
      わが国の森林はといえば、特に、戦後の復興のための木材需要の増大を契機として広葉樹を主構成樹種とした生物多様な天然(自然)林を伐採して、スギやヒノキを主とした植樹・育林を国策として奨励し推進され、近時まで続けられてきました。
      ところが、安価な外国産の輸入木材の増加、本来の『木の文化』である木造建造物や木製品の減少などによる林業不振、山主の高齢化、後継者の都市への転出などにより、間伐や枝うちなどの手入れができず放置された人工林が増えてきました。そのような林は昼間も林床に日光が当たらないため他の生物は少なく、地表が裸出していることもあります。その上、スギやヒノキそのものの根の伸長や張りが少なく大雨暴風などによる斜面崩壊と倒木による土石流と流木により、生物が大被害を受けるという結果となっています。いま一つは、鳥獣のための餌となる植物が森林や山野には極て少なくなり、野生の動物たちが里や町(街)に出てきて果樹や農作物を食い荒らすという、生物間の深刻な問題が生じています。
    土地の神が坐ます森  地球上の生物と人間・ヒトという生物03
      本来、森林は『緑のダム』といい、保水能力が高く、特に上流部の森林を『水山』・『水持山』と呼ぷ地方もあったほどです。そのような森林は渇水や洪水、土壊の流出、斜面崩壊などを防ぎました。水の浄化、生物に必要な栄養・ミネラルに富んだ水を安定的に流出し、川や海の生物多様性を保ってきました。このような本来の森林(森・もり)を理解する上で、民俗学者、宗教学者、生物生態学者、環境学者などから『鎮守の森』が注目されています。『鎮守の森』は古くから『土地の神が坐ます森』、神社という建物が造られるようになり『土地の神の鎮座する社の森』として、畏敬と尊崇の念をもって護持されてきた森です。これらの森は高木、中高木、低木、草本類があり、常緑樹・落葉樹・針葉樹の大木や巨樹、自生種や植えられたものが混生し、まさに、盛り盛りとしています。
      生物多様な森林は、そこに入れば、気分が爽快になり、心が安らぐ『森林浴』の格好の場となり、森林や樹木の彩なす風景・発する音や香り・味わいや触感などを体感することにより、現代病といわれている心の病を治療する『森林セラピー』の最適の所となります。
    共生の場  地球上の生物と人間・ヒトという生物04
      さて、地球環境問題、森林と生物多様性の問題解決への取り組みには、『地球はそこに生存する、すべての生物が共有する共生の場であり、他の生物は人間(ヒト)という生物のために存在するものではない』ということ、『地球の資源には限りがあり、地球上で生物が生存していくためには、互いが持続可能な消費と生産を分担しなければならない仲間である』という意識転換と、共通の基本的理念が私たちに必要であると思っています。
      地球上の限りある森林や他の動植物を消費し利用して生存してきた、これからも生きていかなければならない立場の人間(ヒト)という動物として、地球環境問題や森林と生物多様性の問題を、あなたは、どのように、お考えでしょうか。ご縁があれば、お教えください。
    観音堂周辺  第八番札所とその環境について01
      高野山と海南市や和歌山市を結ぶ貴志川沿いの古くからの往還の、ほぼ中間、『国吉の田』という在所の西端から国道と分かれ右岸を、への字、くの字に登った人里と少し離れた山腹にあります。
      惣福寺の布教活動、年中行事は主として惣福寺観音堂で行い、高野長峰霊場札所も観音堂です。地域の方々からは『大御堂』と呼ばれ親しまれています。
      お堂は東に熊野神社、西に宿泊食事やキャンプ、野外で季節による体験学習などもできる研修施設・セミナーハウスが隣接しています。特に、熊野神社のスギ・コウヤマキ・ナギ・クスノキ・コジイ、シラカシなどの常緑の大木・巨樹、タマミズキイイギリ・ヤマザクラなどの落葉高木、ヤブツバキ・サカキなどの常緑中高木、アオキ・ヒサカキ・マンリョウなどの常緑低木が混生する『神社の森』は森厳で滑らかな宗教的情趣に富む借景となっています。
    御神木、名木  第八番札所とその環境について02
      この神社の森の御神木は、本来は森のすべての木であるが、それらの代表として現在はスギの巨樹と熊野速玉神社の御神木がナギであるという、ご縁で植えられたナギだそうです(熊野神社の宮司様による)。サカキは榊という字があてられるほどに神社では神前の供花、玉串、祓(はらい・はらえ)、神楽など神事や祭事に使われ、民間でも神前や神棚の供花として用いられています。サカキという和名命名の由来には、神に繁栄を祈願する『栄え木』、神域の境界を示す『境木』という説があります。
      お堂や神社一帯は坂上田村麻呂ゆかりの伝説のある『将軍桜』の四代目をはじめ桜の名所であり、秋にはイロハモミジをはじめとする木々の紅葉も美事です。これらは訪れる人々の気持ちを明るく清々しく、心を和ませます。
      お堂前には幹径1メートル余の『無患子』の字が当てられるムクロジの大木があり『心身を患わない』ことを祈願する『聖木』としています。この木の数珠(念珠)にも用いられる実を納めて『患わない』ことを祈祷した特製の『健康御守』も用意しています。
    抜苦と安心  第八番札所とその環境について03
      お堂の、ご本尊は『人々の心身の苦しみを取り除き、心を安らかにする』・『抜苦安心』を叶えていただく『千手観世音菩薩』です。
    『抜苦安心』の抜苦と安心は補完的な関係にあり、苦しみが取り除かれると心が安らかになります。
    苦しみには四苦八苦というほどに種々の苦があります。苦しみの少ない安心な生活をするためには、自分のもつ苦の実態が何であるかを先ず自覚すること。求めてもどうにもならないことによる苦には、いつまでも拘らないこと。欲張りすぎないこと。腹をたてないこと。嫉み(そねみ)や妬み(ねたみ)をもたないこと。邪推をもって疑い深くならないこと。信頼できる仲間をつくること。より良い環境(人間関係も含め)づくりに努め、その環境に心身をおくこと。自分の心身を委ねて信仰(帰依)する対象をもつこと、などを上げておきます。
    散策の勧め  第八番札所とその環境について04
      周辺(地域)の案内をします。貴志川川畔にある『だるま湯』や『かじか荘』という入湯宿泊食事施設、自宅を利用して開設された『風の古民家・うえみなみ』などと『みさと天文台』と、お堂を結ぶドライブ道路や遊歩道(路)もあります。天文台の敷地の西端には和歌山県の『朝日  夕陽百選』に選ばれたポイントもあります。各施設や、それらを結ぶ道(路)のドライブやウオーク、川・谷・森林・草木などや里人との触れ合い・語らいなどは、心身をリフレッシュします。ストレスは心身の健康を損なう大きな原因になるといいます。健康第一。